社会の一員という自覚

パン作りから「協力すること」「ルールを守ること」「仲間との違いを受け入れること」を身につけます。

エスプリドゥでは、言語理解やコミュニケーションに困難さをもつ障害者(知的・精神・発達)の特性を理解し、ご本人の「できる部分」「できそうな部分」などを体験利用時から利用期間を通して、繰り返しアセスメントします。

そして、作業内容はもちろん、作業環境や作業ツールも含めて個別化した活動を提供し、利用者様一人ひとりが社会とのつながりを持ち、それぞれの目標を達成することを目指します。

アセスメントを通じて成功体験の「手がかり」を用意依存的な方も主体的に

  • サービス管理責任者 紙谷一(かみやはじめ)
  • 2019年4月に、生活介護 笑プラスへ異動しました。
  • 1982年10月生まれ/2012年6月入社
  • 社会福祉士・精神保健福祉士

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-まずは、簡単な自己紹介をお願いします。

紙谷) エスプリドゥでサービス管理責任者をしている紙谷一です。2014 年 8 月にオープンしたエスプリドゥに配属になったのは、2016 年 11 月。以前は、10 年間 NPO 法人で生活困窮者の自立支援をしていました。

-サービス管理責任者としての役割や仕事の内容を教えてください。

紙谷) 仕事内容はそれぞれの利用者様に合った個別支援計画の作成です。その支援計画に基づいてサービスを提供するよう現場職員と情報を共有し、支援にあたります。また、医療・福祉の関係機関との連携もおこなっています。

-利用対象者の障害を限定している所が多い中、知的・精神・身体障害をお持ちの方を対象にしているのはなぜですか?

紙谷) エスプリドゥは社会参加する場なので、いろいろな方と接して、多様性を感じられる場でありたいという理想を持っています。様々な障害の方が一緒に作業していく中で、他者理解のきっかけになったり、自身の課題に気づくきっかけになったりすることがあります。ときには、「誰々に挨拶してもらえなかった。無視された」などといったことが起こります。「挨拶しないのはマナー違反だ!」と怒る人もいますし、挨拶されなかったから嫌われていると不安になる方もいます。ですが、時間をかけて、” それはその方の個性なんだ” と環境の中で理解し始めたりします。それが進んでいくと、困っていそうな方がいたら声をかけて手伝う場面が見られたり、お手本となる行動を学んだりと、相乗効果が見られる点が良いところである と実感しています。

そして、他にも、生活介護の利用対象になりうる障害支援区分3、4の中度の障害をお持ちの方にも利用していただけるようにしています。障害支援区分が中度の人であっても生産活動に参加したい方は少なくないので。 ただし、利用者様の安全面には細心の注意を払っていますので、職員側でご本人の安全を十分に確保できないと判断した場合は、ご本人のご希望があってもご利用いただけないこともあります。また、事業所には階段の使用があったり通路やお手洗いが車イスを利用している方対象のものでなかったりと、設備面の理由でご利用いただけない方もいらっしゃいます。

-エスプリドゥでは、生活介護の利用対象にもなりうる障害支援区分3、4の方も利用しているということですが、重めの障害を持つ方が生産活動をする場合に、作業が難しすぎるということはありませんか?

紙谷) まず、見学時の面談と最低 5 回にわたる体験利用を通して、作業面(計量、包餡、スケジュールの理解、ワークシステムの理解、休憩時の過ごし方等)に関係することから、衛生面(入浴、衣類、作業中の動作)などの日常生活にもかかわることまで、確認をしています。 訓練すればできること、環境を調整すればできること、苦手意識が強く訓練をしないことなどを整理しながら、できることが増えるように支援をしていきます。幸い、エスプリドゥでは、提供できる作業の幅が広いので、支援区分が高い方でも、どこかの工程で輝けることが多いですね。また、他の利用者様や職員が不快に思う行為がある場合は、その行動をどのように支援すれば減らしていけるかを、職員間で話し合い取り組んでいます。

-幅広い方がご利用できる事業所ですが、どの様な方がドゥを利用するのに適していると思われますか?

紙谷) 言ったらキリがないと思うので、一部だけですが。

といった方ですかね。

  • 日中活動先に通所しながら生活のリズムを確立したいと思っている方。
  • 一般就労を目指していて働くトレーニングの場を求めている方。
  • 知的障害や発達障害をお持ちの方であれば、スケジュール等のてがかりを使える環境の中で仕事のトレーニングをしたい方。
  • 精神障害をお持ちの方であれば、対人関係スキルや自分の苦手なことを少しでも乗り越えたい方。

利用当初は自信なさげに、職員に対して、依存的な関わりをもっていた方も、日を追うごとに主体的になり、みずから新たな役割に立候補されるようなことが少なくないんですよ。

-依存的な方が主体的になるって、すごいことですね。どうしてそのようなことが起こるのでしょうか?

紙谷) キーポイントは、「手がかり」です。成功体験を積んでもらいたいため、新たな作業にチャレンジするご本人にとっての必要十分な手がかりをそろえた後に、新たな作業を提供しています。その手がかりは、ご本人にとって、わかりやすく、ご本人が手がかりだけで、最初から最後まで作業ができるものであることが重要です。

とはいっても、最初から最適な手がかりを作れない場合がほとんどなので、手がかりを使ってもなお、つまづくポイントは、どこなのかを観察して、それをカバーする方法を取り入れた手がかりに作りなおしています。成功体験は、ご本人の自信につながり、新しい作業に挑戦したいという気持ちをわき起こさせているんだと思います。

-なるほど。それでは最後にエスプリドゥの課題や今後の方向性について聞かせてください。

紙谷) 2017 年 11 月に新たに拡充された事業所での作業が始まり、作業スペースが狭いという課題とそれぞれの障害特性に合わせた作業提供という課題が改善されました。就労継続支援 B 型の課題はいつでも山積しているので何が課題かと言われると正直なところ難しいです。まずは、利用者様の主体性をさらに向上させること、利用者様たちが作成できる商品を増やしていくことに向けて、職員全員で取り組んでいきたいと考えています。そして、利用者様の工賃をできるだけ多く分配したいので、パンがたくさん売れるようにしていきたいです。

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「自分のチカラでできるんだ!」を構造化で実現「よろこび」と「やりがい」へつなげる

  • 生活支援員 平田美紀(ひらたみき)
  • 1989年11月生まれ/2016年3月入社
  • 社会福祉士・精神保健福祉士

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-まずは、簡単な自己紹介をお願いします。

平田) エスプリドゥで生活支援員をしている平田美紀です。2016 年 3 月に入社後、すぐにエスプリドゥへ配属されました。以前は、10 代~ 70 代の知的障害をお持ちの方、約 100 人が生活されている入所施設で働いていました。

-前職と比べて、支援に対する考え方等、違いはありませんか?

平田) 利用者様に今と今後を含め豊かな人生を送ってもらいたいという想いは変わりません。ただ、入所施設に比べ、就労継続支援B型はステップアップを考える方も多くいらっしゃいます。そのなかで、利用者様の今の想いや、今後のことを踏まえて、自分の意思を伝えること、自分の力で選択すること、自分の力でできると感じることが増えていくよう支援していきたいなと思っています。

-入社理由(志望動機)を教えてください。

平田) 前職の知的障がい者の入所施設で働いていました。利用者様の中には、知的障がいと精神障がいを併せてお持ちの方もいらっしゃいました。ゆっくりお話しを聞きながら支援を行い、利用者様に日々楽しく、豊かな生活を送っていただきたいという想いはありましたが実際は介護に追われていた部分がありました。B型も通所で限られた時間とはなりますが、生活面以外も利用者様と話しをしながら支援を行えるこちらを希望しました。

-生活支援員としての役割や仕事の内容を教えてください。

平田) 利用者様とサービス管理責任者が一緒に作った個別支援計画をもとに、利用者様に支援を行っています。また、構造化 を含めた利用者様が働きやすい環境設定を行なうほか、パン屋としての宣伝広告も担当しています。

-「構造化」というのは具体的にどんなことをしているのですか?

平田) 普段の生活の中では、健常者では慣れてしまって認識しづらい刺激がたくさんあります。特に発達障害の特性で、刺激に過敏な方は、いつまでも慣れない刺激があります。その対象となる刺激の種類は、明るさ・音・においなど同じ発達障害の方でも千差万別です。私たちでも、気になる刺激が近くにある状態で、集中するのは難しいですよね。こんな時に、「構造化」することで解決できることもあります。たとえば、視覚的な情報が気になりやすい利用者様には、目の前にある作業に集中できるよう、作業台の前方左右の端を 180cm のパーテーションで囲っています。これも1つの「構造化」といえます。そのほかにも、それぞれの利用者様の理解の仕方にあわせた手がかりや、行動や目線の動きに合わせた作業道具の配置などもしています。

-「構造化」がうまくいくと、どういった変化がみられますか?

平田) 作業に集中できず作業場内を動き回ってしまったり、立ちすくんでしまったり、スタッフに繰り返し質問をされる利用者様がいらっしゃいました。構造化を行った後は、自分で本日のスケジュールを確認し、スケジュールに沿ってお一人でレシピや工程表を見ながら作業を進めることができるようになっています。このように、「構造化」がうまくいくとご本人が、お持ちのチカラが発揮され、ご本人の心の安定や自己肯定感の向上も期待できます。

-自己肯定感の向上以外にも、エスプリドゥを利用することで、利用者様が得られるものはありますか?

平田) ご本人の力で作業を進めること、街のパン屋の一員として活躍することで所属すること、生産しお客様に喜んでもらえることで、利用者様の「よろこび」や「やりがい」につながっていると思います。加えて、通所をしながら、学校や家庭内とは違う、職場での社会性を学ぶことになります。その過程で課題等に向き合う場面が出てくるとは思いますが、ご本人がその課題と向き合い、自身の力で乗り越えていくことでエンパワメントにつながると考えています。また社会性の面では、一緒に働きながら、自分と他者と違いを学びながら、仕事での付き合い方を学んでいきます。そして、エスプリドゥは就労継続支援 B 型の事業所であると同時に街のパン屋でもあります。お客様との接客を通して、言葉づかい、身だしなみ、食品を扱う際の衛生管理も学ぶことができます。

-「よろこび」や「やりがい」を感じてもらうために、していることはなんですか?

平田) 利用者様によっては、口頭でお伝えするより文字や写真・イラスト等で伝えた方が理解をしやすい方もいらっしゃいます。そのため、すべての利用者様が、主体的にパン作りをおこなえるよう、職員が商品レシピを作成しています。利用者様にレシピを見ながらパン作りをしていただくことで、ご本人のチカラで行う主体性、また、「一人でできた!」という達成感を感じていただくことが、「よろこび」や「やりがい」につながっていると思います。利用者様が何かを作る際に、職員に尋ねることが日常化してしまうと、職員がいないとできない、誰かがいないとできないという認識や環境におちいらないように注意しています。

他にも、作業中は忙しく交流しづらいので、同じパン屋を支える仲間である他利用者や職員との交流の機会を用意しています。具体的には、毎月 1 回、利用者ミーティングを、不定期ですが任意参加のレクリエーションも実施しています。利用者ミーティングでは、来月の予定をお知らせしたり、利用者様から集まった意見を発表し、職員から回答を発表しています。レクリエーションについては、カラオケやボーリングをしたり、職員の手作りのピンポンボール入れ大会や魚釣り大会をチーム戦で実施しています。同じチームの方がボールの入れ方や魚の釣り方のコツを教えあうなど、普段かかわりの少ない利用者様同士でも会話がみられ、大変盛り上がります。

-最後に、インタビューをご覧になっている利用対象者の方に対して何か一言おねがいします。

平田) パン屋の仕事はパンをつくるだけと思われがちですが、パン屋やお菓子屋の仕事は製パン・製菓のみではありません。販売促進のための各種営業や清掃作業、包装作業や接客業についてもパン屋にとっての大切な仕事になります。作業工程が、うまくいかなかった際は、作業内容・作業工程・スケジュールの提示の仕方がご本人に本当に適しているものなのか再度検討しています。利用者様からも、どの部分が不明確なのかを聞き取りや観察をおこない、再度アセスメントを取り、利用者様のわかりやすい提示の方法や、製パン・製菓だけではないご本人にあった仕事を考えておこなっています。得意なことを作業に生かしながら、自分の力を実感しながら、地域の一員として、パン屋として、社会とつながりたい方のご利用をお待ちしています。

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人員体制(実数)

管理者兼サービス管理責任者1名

職業指導員5名

生活支援員2名

目標工賃達成指導員2名