ほんの少し視点と行動を変えてみると…。-認知行動療法「3行日記」-

エスプリドゥの長門です。
私事になりますが、最近になって筋トレと運動を始めました。
といいますのも最近体重の増加と腹回りのゆるみが見られ、
このままでは買ってきた洋服が着れなくなる!と危機に直面したのがきっかけです。

しかし元々5段階評価で2を取るくらいの運動音痴であり、
こじつけレベルで運動を憎んでおりました。
どうせ続かないだろうとやる気ゼロでスタートしましたが、
やってみたらびっくり。

意外にもやり終わった後の爽快感が気持ちいいよかったんです!!
ということで嫌いであった運動が今では週2、3取り組むくらい習慣化することが出来ました。

食わず嫌いだったものが
視点と行動を変えることで好転することが出来た一例です。

今回はそんな「視点と行動の変化」によって状況が好転した
支援の一例をご紹介いたします。

〇利用者様の特性と支援の方向性

Aさん(仮名)
うつ病
過去の経歴から「他人に認められない=価値がない」という認識が根底にある。
完璧思考(ミスをしたり、思うような結果が出なかったときは自己批判が発生。)

過去の嫌なことや自身のネガティブ側面に着目して
ストレスがたまり、体調不良になるという流れが傾向として多く表れていました。

上記を踏まえ本人の意向を聞くと
「ありのままの自分でいたい。」という希望がうかがえたので
「他者評価に捉われない思考の確立」を目標と設定しました。

〇支援策第1弾「NLPのリフレーミング」

上記利用者様の思考と経歴から「言葉のとらえ方、使い方」を変化すると
改善が期待できるのではないかと思い、
初めに取り入れたのが「NLP」でした。

「NLP」とは
Neuro(神経) Linguistic(言語) Programming(プログラミング)」の略称で
別名「脳と心の取扱説明書」とも呼ばれております。

難しそうな響きだなと感じたのは私だけでしょうか。
きっと違うかと思われますので簡易的に説明します。

ざっくりいうと
「物事への一定の反応(プログラム)は過去の体験と言語化によって形成される」というものです。

例えると犬が苦手な男性がいるとします。
その方は犬を見る度に冷や汗や震えが身体反応として出てしまいます。

この男性の場合、幼少期に犬に追いかけれた体験(神経)と
「犬に恐怖を感じた」(言語)と思った過去から
似た境遇が起きても自身を守れるよう冷や汗や震え(プログラム)が表れていると捉えることが出来ます。

このNLPですが、実はやり方次第でプログラムを書き換えることが出来ます。
一例としてとある出来事に特定の苦手意識が働くプログラムには
苦手でなくなるよう扱う言葉を変えて繰り返し実践することでプログラムを
書き換える手法があります。

それが今回提供した「リフレーミング」です。

リフレーミングとは物事を印象付ける感情の解釈を変えていく方法です。

 

A様にはリフレーミングを用いて過去のトラウマの解釈を変えて
精神安定が図れるよう実施してもらいました。

果たして効果は…?

結論から言うと「失敗」に終わりました。

理由として「ご本人の身体、精神的状況にマッチしていなかった」のが挙げられます。
昔の嫌な記憶を思い出し、リフレーミングを行おうとするも
感情と思考の整理が追い付かず、苦しい状況の改善が図れませんでした。

 

それもそのはずで、他者の悪意に晒され辛い経験をされてきた方に
いきなり「ポジティブに視点を切り替えましょう。」というのは
かなりミスマッチであったと思います。

支援は試行錯誤の連続とはいえ
導入当初を振り返るとご本人に申し訳ないことをしたと今でも反省しております。

上記を踏まえ、ご本人が少しでも取り組みやすい内容に
シフトチェンジが必要となりました。

〇第2弾「認知行動療法」

次に導入したのは「認知行動療法」という手法です。

こちらは端的に言うと「極端な物事のとらえ方や思考を柔軟にしていく」手法となります。
主に精神障害の利用者様向けに行われる心理教育のひとつであり、
科学的にも回復のエビデンスがいくつもある方法になります。

ここでいう認知とは「物事のとらえ方」と思ってください。

我々人間は少なからず自分の軸や枠組みで物事を判断することが多々あります。
例えば私の場合ですが、人見知りと内向性が相まって
初対面の人に話しかけようにも「あ、嫌われたかもしれない。」と
よく躊躇しておりました。
(この頃の自分心弱すぎますね笑)

このようにある事象や出来事に対してパッと思いつく思考を
「自動思考」と呼びます。

「自動思考」自体は誰にでもあるのですが、
問題になってくるのは極端な「自動思考」による
対人トラブルや健康被害になります。
以下にその例を記載します。

例:①AさんがBさんに挨拶したけど返事が返ってこなかった
  →「Bさんは私を嫌いに違いない」
  →Bさんを無視、あるいは攻撃的態度に出る

  ②AさんがBさんに挨拶したけど返事が返ってこなかった
  →「Bさんは私を嫌いに違いない」
  →Bさんの顔を見る度に不快になり、ストレスがたまる

このように極端な「自動思考」は他者との関係性が悪化したり
自身の健康に害を及ぼすようになります。
なお、後者に関して言及すると精神的不調が続くと
身体にも影響が出てきます。

こういったトラブルや問題を減少させるには
極端になった認知の棘部分を丸くしていく必要があります。

Aさんは過去の経歴から
「他者評価がない=自分は無価値」の極端な「自動思考」が強く根付いており
他者評価を得られなかった際に精神状況が不安定になる傾向があったため
第二弾支援策として認知行動療法を選定しました。

〇自分で自分を認める?「三行日記」

認知行動療法の一環として導入したのが
「三行日記」という手法です。

こちらは寝る前の15分に本日良かったと思う事を
寝る前に3つノートに記載するというやり方です。

ここまで読んでくださった方で多くの方がきっとこう思ったにちがいないでしょう。
(私の自動思考及び思い込みのようでしたら大変申し訳ございません。)

「え、そんなんで?」


はい、そうです。そんな方法を取り入れちゃいました★

実はこちらの手法は正式名称があります。
正しくは「筆記開示(エクスプレッシブライティング)」と
呼ばれております。

理論や細かい詳細は省きますが、
思考をアウトプットするだけでストレスが軽減するんだそうです。

ネガティブ感情に目を向けがちだった思考傾向を
本人が良いと思えたこと(ポジティブ感情)に着目する習慣へと変えていくのを目標に
取り組んでもらいました。

取り組むにあたり以下記載時のルールを設けました。
①寝る前に書くこと。
→(ポジティブ感情の記憶定着を図りやすくするため。)
②他者比較での気持ちではなくご自身の気持ちを書く。
→(他者比較によって苦しんできた経緯があることから。)
③体調不良で無理そうな時は書かない。
→無理なく徐々に認知の変化を形成させていくため。

上記のルールを基にご本人に数か月ほど取り組んで頂きました。

果たしてその結果はどうだったのでしょうか。

認知行動療法の効果は..? 

結論から言うとなんと体調の改善と思考の変化が見られました!!

具体的に言いますと、
〇体調不良による欠勤数が月2~5日→無欠勤通所の達成
 ※ご本人の通所開始時より無欠勤は初の快挙
〇目的思考の定着化
が確認できました!!

以前は過去の想起による体調不良で月に何日か
欠勤することがありました。
そのAさんでしたが、通所開始3年目でついに
初の無欠勤通所を達成することが出来ました。

また思考についても変化が見られており
今まで不快に思っていた利用者様への対応へも変化が確認できました。

Aさんですが今現在もドゥに通って元気に作業をされています。

たかだか3行程度の文章で…とは正直は思いましたが
その方法で人は変わることが出来るのだと実感した瞬間です。

まさにちょっとした視点と行動の変化を起こしたからこその恩恵だと思います。

最後に

「自分を変える」ということに漠然とした難しさを抱える方が多いかと思われます。

なんだかとてつもなく努力をしなければいけないのではないだろうか、
大きなリスクを背負っていかなければいけないのではないだろうか、など。

上記に関していえば半分あたりの側面もあります。
変えたい対象が大きい場合はそれらの代価は必要になってくるかもしれません。

ただその変えたい範囲を小さくしてみたらどうでしょうか。
例えばやったことのなかったウォーキングを1日5分間やってみるとか。

そうするとなんとかできそうな気が湧いてこないでしょうか。
これを毎日継続してやれば毎日ウォーキングに取り組む習慣を手に入れることが
できるかもしれません。

このように変えたい対象を小さく設定して継続的に修正行動を起こせると
ご自身の何かが変わっていけると思います。

変えたいことがあったら
まずは小さいことから始めてみる。

皆さんもぜひ取り組んでみて下さい。

長門

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